配偶者の不倫・浮気が発覚した場合、その配偶者自身はもちろん、不倫・浮気の相手に対しても、慰謝料の支払いを請求することができます。
もっとも、LINEの履歴や写真など、不倫・浮気の証拠はしっかりあるけれども、肝心の不倫・浮気相手の名前や住所が分からないということも少なくありません。相手の名前や住所は、裁判所や弁護士等からの書面を送るために不可欠のものですので、名前や住所が分からないと、慰謝料を求めて裁判を起こすことも、慰謝料請求の通知書を送りつけることもできなくなってしまいます。
そのため、この記事では、慰謝料を請求する前提として、不倫・浮気相手の名前や住所を突き止める方法についてご説明させていただきます。
不倫・浮気相手の電話番号が分かる場合
不倫・浮気相手の名前や住所は分からないけれども、配偶者の携帯の通話履歴などから不倫・浮気相手の電話番号は分かったという場合があります。
その場合には、弁護士に依頼し、弁護士会照会(弁護士法23条照会)という手続きを行うことで、その携帯電話のキャリア会社(NTTドコモ、au、ソフトバンクなど)に対して、契約者情報を照会し回答を求めるということが可能です。
キャリア会社が回答に応じた場合には、その電話番号の回線契約者の、名前・住所等が弁護士宛に開示されることになります。
もっとも、この手続きはキャリア会社へ回答を強制する制度ではないので、場合によっては回答に応じてもらえない場合があります。また、慰謝料請求等の前提として必要な名前・住所を照会するという手続きですので、弁護士会照会のみを弁護士に依頼することはできませんし(その後の慰謝料請求自体を依頼する必要があります)、慰謝料請求等以外の目的に利用することもできません。
不倫・浮気相手のメールアドレスが分かる場合
配偶者の携帯等から不倫・浮気相手のメールアドレスは分かったという場合には、電話番号と同じように、弁護士に依頼して携帯電話のキャリア会社に対して弁護士会照会(弁護士法23条照会)の手続きを行うことで、契約者情報を照会し回答を求めることができます。
もっとも、この場合も、回答に応じてもらえない場合があること、弁護士会照会のみを弁護士に依頼したり、慰謝料請求以外の目的に利用したりすることはできない点は同様です。
また、Googleメール等、外国企業が管理するメールアドレスの場合には、弁護士会照会の手続きでは回答を求めることはできません。
不倫・浮気相手のLINEのIDが分かる場合
不倫・浮気相手のLINEのIDは分かったという場合には、LINEの運営会社であるLINE株式会社に対して弁護士会照会を行うことで、LINEの利用者登録の際に登録された携帯電話番号を照会し回答を求めることができます。
まずはLINE株式会社に対して携帯電話番号の回答を求め、その開示を受けた上で、次にその携帯電話のキャリア会社に対して、契約者情報の照会を求めるという流れを踏むわけです。
ただ注意が必要なのは、この手続きにはLINEのIDが必要だということです。不倫・浮気相手のフレンド名(ニックネーム)が分かるだけ、あるいは相手のトーク画面やホーム画面の画像だけでは、LINE利用者から特定の一人に絞り込むことができず、弁護士会照会には応じてもらえません。不倫・浮気相手のLINEの情報がつかめそうなときには、必ず相手のIDまで確認するようにしましょう。
電話番号・メールアドレス・LINEのIDのいずれも分からない場合
残念ながら上記のいずれも分からないという場合には、最後の手段として、
① 探偵や興信所に依頼して、不倫・浮気相手の情報をつかむ
② 配偶者に直接確認する
という方法がないわけではありません。
もっとも、①探偵や興信所を利用する場合、調査方法や期間に応じてときには多額の費用が必要となってしまうこともありますので、事前によく相談し、信頼できる探偵・興信所の方に依頼するようにしましょう。
また、②配偶者が不倫・浮気を認め反省しているような場合には、正直に相手の情報を教えてくれるかもしれません。もっとも、相手が開き直って不倫・浮気相手をかばうことも考えられますし、配偶者に直接聞くと言うことはこちらが不倫・浮気相手の情報を掴んでいないということを気付かれかねないことにもなってしまいますので、この手段は可能な限り避け、最後の手段とすべきでしょう。
まとめ
この記事では、慰謝料を請求する前提としての、不倫・浮気相手の名前や住所を突き止める方法についてご説明させていただきました。
もっとも、ご紹介しました弁護士会照会は、個人で行うことはできず、必ず弁護士依頼して行う必要があります。また、相手の名前や住所が分かっていたとしても、慰謝料を請求したり、相手と交渉・裁判を行ったりすることは、自分ひとりではなかなか難しいのが実際のところです。
そのような場合には、弁護士などの専門家に相談することをお勧めいたしますので、ご不安の際には、お気軽にご相談下さい。