パートナーとの生活に嫌気がさし離婚を決意した場合、とにかく一刻も早く離婚したいと考えるのは自然のことです。
しかし、とにかく別れたいばかりに衝動的に離婚を切り出し行動してしまったがために、当面の生活にも苦労してしまったり、あるいは離婚がスムーズに進まなかったりといったことも少なくありません。
離婚を決意したとき、離婚を相手に切り出す前に特に準備しておきたいのは、以下のポイントです。
① 当面の生活費用の準備
② 離婚原因の証拠集め
③ 相手の財産状況の調査
④ 精神的なよりどころの準備
この記事では、これらの離婚前準備での重要ポイントについて、順番にご説明させていただきます。
当面の生活費の準備
離婚に相手がすんなり納得しない場合、まずは別居をして、その上で離婚に向けた話し合いを進めることになるのが一般的です。
そのため、新しくアパートを借りたり、当面の食費や光熱費などを支払ったりすることができるだけの生活費をあらかじめ準備しておく必要があります。
なお、自分よりも相手の収入の方が多い場合には、相手に対して別居中の生活費(婚姻費用)を請求することが法律上認められています。もっとも、相手が離婚に納得していない場合には、婚姻費用の支払いも拒否しようとすることが多く、支払わせるまでに時間がかかることもあるため、ご自身での準備はとても大切です。
離婚原因の証拠集め
相手が離婚にどうしても同意しない場合には、裁判によって離婚を裁判官に認めてもらう必要があります。
もっとも、裁判官が離婚を認めるための原因(離婚原因)は法律上決まっており、
① 相手に不貞な行為があったとき(浮気相手と性交渉を持った場合)
② 相手から悪意で遺棄されたとき(家出して生活の面倒も見ない等)
③ 相手が3年以上生死不明なとき
④ 相手が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
⑤ その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき(DVや暴言等)
のいずれかが必要となります。実際の離婚裁判では、①や②、⑤にあたる事実があったかが問題となることが多いです。
そのため、①相手が浮気をしていたということであれば、あらかじめ浮気の証拠(浮気相手とのLINEやメール等)を、⑤相手からDVや暴言を受けていたということであれば、あらかじめDVや暴言の証拠(診断書やけがの写真、暴言の録音等)を準備しておくと後々役に立ちます。また、このような証拠は、相手に対して相手に対して慰謝料を請求する場合にも役立ちます
これらの証拠は、別居後には入手するのが難しくなることがほとんどですので、離婚を切り出す前に準備しておくのが効果的です。
相手の財産状況の調査
離婚をする場合には、結婚生活の中で築いた財産をどう分け合うか(財産分与)についても同時に話し合う必要があることがほとんどです。そして、その場合には、気付かないうちに財産を隠されてしまわないよう、相手の財産をきちんと把握しておく必要があります。また、相手に対して別居中の生活費(婚姻費用)や養育費の請求をする場合にも、相手の収入が実際にいくらくらいなのかを把握しておくことは重要です。
具体的には、相手がどこの銀行に預金を持っているのか(預金通帳等)、どこの生命保険に加入しているのか(保険証書)、株や投資信託などをやっていないか、実際の収入がいくらなのか(給与明細等)などが役に立ちます。
これらの資料や情報についても、やはり別居後には調査するのが難しくなりますので、離婚を切り出す前にできる限り調査しておくようにしましょう。
精神的なよりどころの準備
離婚を切り出した後、離婚や財産、お子様のことなどについて相手と話し合いを行うということは、予想以上にストレスがかかり、またエネルギーを使います。それにもかかわらず、別居したことでひとりになってしまい、またお子様だけとの生活となり、誰にも辛さを話すことができないという状態になってしまうことがあります。
そのため、離婚を切り出した後も相談したり愚痴を聞いてもらったりできるよう、ご両親やご兄弟姉妹、信頼できるご友人などには、あらかじめ事情を相談しておくということはとても大切です。
もしもそのような方が身近にいない、あるいは親しいからこそ心配をかけたくなくて話ができないという場合には、弁護士などの専門家に相談して話を聴いてもらうことも十分役に立ちます。また、弁護士を選ぶ際にも、しっかりと話を聴いてもらえる、信頼関係を築くことのできる弁護士に依頼するという視点も重要です。
まとめ
この記事では、離婚を切り出す前の準備の大切さについてご説明させていただきました。もっとも、準備が大切だとはわかっていても、実際にどうやって証拠を集めたらいいのか分からない、相手との話し合いをどう進めたらいいのか分からないという方は大変多いです。
そのため、実際に離婚をお考えの場合には、ご自身がどのように準備を進めるべきかという点も含めて、あらかじめ弁護士などの専門家に相談することをお勧めいたします。
ご不安の際には、お気軽にご相談下さい。