夫婦が別居してから数日後、突然、妻(夫)の弁護士から書類が届いた、という事例は珍しくありません。日常生活において弁護士から連絡が来るという事態はなかなか経験がないことで、ご不安になる気持ちはよくわかります。
弁護士から連絡が来た場合にすべきこと、絶対にやってはならないことをお伝えいたします。
弁護士からの連絡=裁判ではない
まずは、弁護士からの連絡内容を確認してみましょう。一般的には、「夫(妻)から依頼を受けた弁護士であること」を知らせる目的で初回の連絡を行います。
この段階では、裁判所を利用した離婚手続は開始していないことが多いです。ただ、弁護士からの書面を受け取らなかったり、回答期限までに連絡をしない場合には、裁判所を利用した離婚手続が始まってしまう可能性がありますので、内容をよく確認しましょう。
弁護士から連絡が来た場合にやってはならないこと
連絡を無視してはならない
弁護士からの連絡を無視すると、「この人とは話し合いができそうにないな」と思われてしまいかねません。そうなると、相手の弁護士は、裁判所を利用した離婚手続を開始する可能性が高いです。トラブルを長引かせることによる精神的負担や経済的負担がのしかかることになります。
夫(妻)と直接連絡をしてはならない
弁護士からの連絡内容には、「今後の連絡は弁護士宛に行ってほしいこと、夫(妻)への連絡をしないでほしい」といった記載が必ずあります。これを破ってしまうと、
妻(夫)に過剰なストレスを与えて心証が悪くなってしまう危険が高いです。
妻(夫)が弁護士に依頼をするのは、相手方からの直接に連絡を受けたくないからです。それなのに妻(夫)連絡をしてほしくないからです。それなのに直接連絡をしてしまうと、妻(夫)からは、「自己中心的」「わがまま」「理解がない」と反発必至です。これではまとまる話もまとまりません。
また、離婚調停等においても裁判官からの心証を悪くしてしまい、悪い印象を持たれたまま手続が進んでしまう可能性があります。
弁護士から連絡が来た場合の対処法
連絡内容をよく確認しよう
弁護士からの連絡に、どうしたらよいかと不安になるのも無理はありません。不安を解消する第一歩は、連絡内容をよく読んで、妻(夫)が何を求めているのかを知ることです。特に次の点に注意して、連絡内容をよく確認しましょう。
① 妻(夫)からの請求内容はなにか
② 妻(夫)が請求をしているのはどうしてか
③ 回答期限や連絡方法
回答を考えよう
弁護士からの連絡内容を確認したら、それぞれに対する回答をまとめましょう。請求の内容にもよりますが、次のようなことを考えてみるとよいでしょう。
①請求内容に対する回答
・離婚をしたくない
・(慰謝料や財産分与を)支払える状況にない、金額が高い
・子どもの親権は自分が持ちたい
など
②請求の理由に対する回答
・事実と異なる理由に基づいた請求である
・妻(夫)が見落としている事実がある
など
③回答期限に対する回答
・(弁護士に相談したいので)回答期限に遅れること
・連絡方法を変えてほしい
など
妻(夫)の弁護士に連絡する
受任通知には、妻(夫)の弁護士の連絡先が書いてありますので、そちらに連絡をしましょう。連絡をする際には、次の事項に注意しましょう。回答内容をどのように伝えたらよいか分からないという方もいらっしゃると思います。その場合は、最低限、「弁護士と相談してから連絡をします」と、回答期限内に伝えてください。
①期限内に回答すること
②感情的にならないこと
③面談の希望には安易に応じないこと
④納得できない内容を受け入れてはならないこと
弁護士に相談する
妻(夫)の弁護士と直接交渉するのは不安だという方がほとんどだと思います。お一人で抱え込まないで、弁護士に依頼をされることもお考え下さい。
弁護士に依頼すれば離婚問題をどう進めれば良いかアドバイスしてもらえるだけでなく、妻(夫)の弁護士との交渉もしてもらえます。
まとめ
妻(夫)の弁護士から離婚の申し入れが届いた場合の対処法とやってはならないことを紹介しました。
弁護士からの連絡が届いた場合には、まず連絡内容を確認して、なるべく早くに弁護士へ相談することをおすすめします。